【ディプロマ便り】一生現役
華もみじディプロマコースを卒業された生徒さんのその後の人生を追う、ディプロマ便り。
先日はるばる鹿児島県までやって来た足でもう一ヶ所、クリエイティブ活動と並行してブリコラージュフラワーの活動をされているディプロマ卒業生を訪ねました。
前日のお天気から一転、眩しいほどの太陽が顔を出してくれたこの日、のどかな町並みに佇むアトリエへお邪魔しました。
思わず見惚れてしまうほどの素敵な笑顔で歓迎してくれたのは、enmoyukariエンタープライズ 山崎由加里さん。普段はこの場所で、弟の展弘さんとともに “心豊かな暮らしと心地よい癒しの空間や記憶に残るオブジェの創造” をテーマに様々な活動をされています。
クリエイティブユニット
由加里さんがフラワー&クラフトデザイナー、展弘さんがガーデンデザイナーとして姉弟で活動するクリエイティブユニット。元々おふたりのお父様が庭職人、お母様が花屋を営み、小さな頃からお花に囲まれて育ったそうです。
▲「子年の弟が猫を作る」と冗談もお上手。
ーー(由加里さん)生まれは静岡です。縁があってこちらに来て、鹿児島で20年目になります。こんな狭いところで作業しているの。
ーー(由加里さん)元々静岡で花屋をしていました。実店舗でやっていたんだけど、こっちに来てからは移動花屋で、それこそ軽トラックに花を積んで天文館(市内の繁華街)の駐輪場でやっていたんですよ。ゼロからっていう感じです。切り花と観葉やサボテンなどの鉢を売っていました。20年も前の話ですけど。
移動販売としてゼロからの再スタートでしたが、ドイツへ短期レッスンを受けに行ったり、フランスのコンペに出品したり、フラワーレッスンやハウスクリエーションをしたりと、海外へ行ったり来たりしながら腕や感性を磨いてきたといいます。
職人とアーティスト
アトリエの中には独創的な作品があちらこちらに飾られています。
ーー(よっしー)以前から植物×アートを掛け合わせるというスタイルですか?
ーー(由加里さん)アートという括りではあんまり考えていなくて。なんかこう手作業というかそういうものがすごく好きなものだから、異素材と植物を組み合わせて一つのものを作り上げるということがすごく好きだったんですよ。
アートってよく言われるけれど、どちらかというと職人です。
「職人」という言葉が返ってきてハッとしました。これまで「アーティスト」も「職人」も、私自身さほど意味を考えずに使っていたことに気づきました。
自分がいいと思うものを作るのがアーティストであれば、他人にいいと思われるものを作るのが職人。だとしたら、きっとこのふたつの言葉は明確に分別できるものではなさそうだけれど、結局は本人の意識かもしれません。
すると由加里さんがこれまでどのようなスタンスで制作活動をしてきたかが少し分かるような気がしました。
インスピレーション
実は毎年華もみじの一年のはじまりを彩ってくれているのが、enmoyukariさんの新春門松。
今年のお正月はゴールドボールを大胆に使った、豪華で煌びやかな門松が福を呼んでくれました。
そしてこちらは、由加里さんが地元のお祭りで着ていた藍染の法被で作った打ち出の小槌。ずっとそばに置いておきたいという想いで作られたそうです。
はじまりは和装のブライダルブーケでなにか記念に残るものが欲しいとの依頼からでしたが、現在は一つ一つにテーマをもって制作されています。
ーー(よっしー)制作物はどこからインスピレーションを得ていますか?
ーー(由加里さん)割とフラワーアレンジの方から来た流れや、布とかレザーとか。素材の色と質感にインススピレーションが湧きます。小槌を作るとフラワーデザインのイメージが湧いて、逆に花を創ると小槌へのイメージが広がるという感じ。
多種のテキスタイル素材を使って打ち出の小槌をモチーフにした縁起物 “codzuchi小槌” 。プリザーブドフラワーのローズ花びらが活かされています。
ーー(由加里さん)やっぱり手作業が好きなんです。昔からですね。365日ずっと何か作っている感じ。
由加里さんの頭の中がこの限られた空間に現れた世界だとしたら、どんなに心豊かできらめきに溢れているのだろう。
花塾へようこそ
鹿児島へ移ってからしばらくの間、主にアートフラワーを使った活動をしてきた由加里さん。華もみじのディプロマレッスンに通ったことでまたフレッシュの良さを実感し、色々な方向に視野が広がったと話します。
毎月定期的に開催している「花塾」というフラワーレッスンにおいても、アレンジメントやHOUSEクリエーションといったDIY感覚のワークショップのほか、ブリコラージュフラワーレッスンも取り入れるようになりました。
取材に訪れたこの日はちょうどウォールバスケットのブリコラージュフラワーの回ということで、開催場所であるシャン・ド・フルールさんにてレッスンの様子を覗かせてもらいました。
シャン・ド・フルールさんは鹿児島一植物の取り揃えが豊富と言われており、由加里さんが鹿児島へ来た時から長くお世話になっているそうです。
ーー(由加里さん)シャン・ド・フルールに植物がいっぱいあるから、仕入れはそちらにお任せして。私は制作と付加価値のあるようなものを作っていきたいなと思ったものだから。
シャン・ド・フルール 店長の荒木美帆子さん。
植物の知識が本当に豊富でブリコラージュフラワーにも理解があるため、レッスンのはじまりにお店のガーデンをまわりながら新しく入った植物の特性やブリコラージュフラワーでの活かし方をアドバイスしてくださいます。
生徒さんからとにかく「やさしい」と評判の由加里さん。由加里さんのお人柄と世界観は唯一無二です。
「仕事を一生現役でできたらいいかな。職人さんで。場所は限らず外には出たいと思ってます。仕事で行きたいんですよね、旅とかじゃなくてね。言葉は喋れないけれど、作り出すものなら共感できるかなという感じがしていて。」
華もみじのディプロマレッスンには、さまざまな目的を持った方が入会されます。それぞれ異なる人生を歩んできた通過点で華もみじと出逢い、これからの未来図を描きながら植物と自分自身と向き合います。同じレッスンを受講してもそこから吸収するものは人それぞれ、がおもしろいところでもありますが。
華もみじのレッスンが好機となって、これからの人生がより豊かに輝いたものになれば私たちも嬉しいです!
(編集部 よっしー)
enmoyukariエンタープライズ information
植物とクラフトワークを組みあわせた “HOUSEクリエーション”植物を取り巻く環境に一工夫することで、花や緑が引き立つアイデアをテーマにした「花塾」を開催されています。オリジナリティ溢れる世界をぜひ覗いてみてくださいね♪
住所/鹿児島県鹿児島市中山町1166-1
電話番号/099-814-7097
HP/https://enmoyukari.com/
Instagram/@enmoyukari_flower