ハナモミジ

ハナモミジ

生産者訪問@杉本神籠園さん

福岡県糸島市にてはざま園芸さんを訪問した後、およそ1時間半ほど車を走らせ、みやま市へやって来ました。

次なる目的地は「杉本神籠園」さん。とめさんからのご紹介で今回はじめて伺うことができました。

看板を頼りに、まるでトトロの森のような樹々に覆われた小道を進むと

その先に待っていたのは、切り立った岩壁を背に建つたくさんのハウスでした。

奥からは杉本さんの姿。笑顔で私たちを迎えてくださいました。

 


 

「ここ5年くらいは定番のリバイバルをかけることにパワーを使っていて。花のサイズ感だったり切るハサミの位置だったりを見直して、もう一回今の時代に合わせた丈夫な植物を届けたいなと思って。」

静かな口調ながら強い意志を感じるもの言いでこう話すのは、福岡県みやま市で観葉植物の生産を手掛ける「杉本神籠園」の杉本佑貴さん。

観葉植物にもやはり時代の流れというものがあって、これまでの鉢花が段々と生活に合わなくなってきて萎んできてしまっていると現状を分析。だからこそ使い方や生活リズムに合わせていかないと、と話す姿から危機感をも感じました。

しかし一方では、ポジティブな傾向も感じているといいます。

「今の若い方は風合いを分かってくれる。植物が小さくても、あぁいいなってスッと思ってくれる。昔だったら玄人が「あぁこれ時間かかってるね〜」というようなレベルでしたけど、今は素人が気づいてくれる。時代がそうなっている。」

園芸業界に限らずどの業界も時代の流れに敏感になり、変化していかないと生き残れない昨今。そのシビアな現実と向き合いつつも、日々試行を重ねながら時代にあったやり方を模索されていることが、ハウスの植物たちから感じ取れました。

 

 

「杉本神籠園」をひと言で言い表すのは非常に難しいけれど、敢えて表すならば “魅惑のジャングル” といった印象でしょうか。数え切れないほどさまざまなジャンルの植物がハウスの中に所狭しと並んでいる環境で、その一つ一つがとても個性的で魅力的なのです。

それは後ほどご紹介させていただくとして、まずは杉本神籠園さんの代名詞とも言えるオリジナル品種「エメラルドウェーブ」をお見せできればと思います。

こちらが世界各地で愛されている、エメラルドウェーブ(欧米では「クリスピーウェーブ」の名で広く知られているそう)です。

現在代表を務める佑貴さんは四代目。お祖父様である春男さんが、とある植物園の立ち上げのため全国で植物収集をする際にたまたま変種のタニワタリを発見し、お父様の健康さん、佑貴さんとバトンを繋ぎ、30年以上をかけて生み出されたのがこのエメラルドウェーブなのだとか。

その当時はメリクロン(分裂組織を無菌的に培養し増殖された苗)などなかったため、何度も選抜育種を繰り返したそう。波打った艶やかなグリーンの葉が唯一無二の美しさですね。

そんな素敵なエメラルドウェーブの切り花用の栽培施設も覗かせていただきました。

うわぁ…圧巻です!!

カットされた葉はまるで昆布だし(食べられるのかな?)のようですが、これだけで水差しにしてもきっと素敵でしょうね。

 

 

続いてご紹介するのは、今年イチ湧いたサラセニア。見てください!この大群を!!

「こんなサラセニア見たことない!」「かわいいー!花が咲いてるー!!」「きゃっきゃっ」

スタッフ一同歓喜に包まれ、そんな調子で買い付けてきた子たちが先日「妙で粋なお華箱」配信(毎週木曜にインスタLIVEしています!!)に登場したというわけです。

実は、サラセニアの取り扱い量は杉本神籠園さんが日本一!全部で10品種ほど育てているそうです。

ただ杉本神籠園さんが育てるサラセニアの最盛期は3月から6月あたり。時期は過ぎていましたが、残りもの感を微塵も感じぬ美しさでありました。

佑貴さんがヨーロッパを回る中で魅了され、栽培を決心したというサラセニア。ここまでぷっくりとボリュームのある株に育てるには驚きの方法がありました。

「日照時間が大事。休眠させてしまうとスカスカの苗になってしまうので、休眠させずに花を迎えさせボリュームのある株を出荷しています。冬と思うと休眠に入ってしまうので、日照時間を長くして冬と思わせない。そしたら春にはボリュームある株になります。」

つまりはサラセニアを寝かせないというわけですね。
なかなかのスパルタ!私ならそんな環境耐えられませんが、むしろサラセニアたちはモリモリ元気!いい環境なのがわかります。

ただ何より大事な要素は、佑貴さんやスタッフ皆さんの溢れんばかりの愛情と情熱。こんなに苗が立派なのは、それだけ手間暇かけている証拠ですね。

 

 

さて、「杉本神籠園」と言えば、な植物をふたつご紹介してきましたがいかがでしたか?最後に魅惑の植物たちを一挙ご紹介させていただきます。

▲ミニチュアな世界。癒される…

▲ベゴニア・マクラータの花ははじめて見ました。素敵。

▲空を翔ぶコウモリみたい。

▲佑貴さんが産まれた時には既にあったというビカクシダ(コウモリラン)。
「ハート型だね!」と、とめさん。

▲写真右手の植物はなんとアンスリウムの原種だそう。たしかによく見たら…わかるかも!

▲ハウスの奥の方までユッカロストラータ!!

▲たくさんの目に見られている気分になる、セロームの木々。

▲ユッカの花。ツンツンとした鋭い葉からは連想できないほどかわいらしい。

▲エバーフレッシュの花。植物にとって心地よい環境なんですね。

▲白い中斑が美しい、アガベ ポタトラム バリエガータ。

▲パキラの木の実を発見!奄美の農場では花が咲いているんだとか。一度見てみたい!

 

 

本当にいいと思ったものだけを育てていると話す佑貴さん。

「僕は純粋に植物が美しいと思えばどうしてもやりたくて。サボテンとか多肉とかチランジアといった枠で仕切っていなくて。やっぱりこう感じるものがある。」

その言葉がとても印象的でした。

杉本神籠園さんの植物のエネルギーを感じ取っていただけましたでしょうか。これからの園芸業界にワクワクと期待が込み上げる取材となりました。

最後に杉本さんご夫妻と一緒に。
たくさんご案内いただき、ありがとうございました!

(編集部 よっしー)

 

杉本神籠園
インスタグラム @sugimoto_shinryuen
ホームページ http://sugimoto-shinryuen.com

ご家庭で観葉植物を楽しむためのアドバイスをいただいたのでご紹介♪

▶︎サラセニアに必要なもの
①根っこの湿度(元々沼地の植物なので根っこの部分が常に濡れていたらベスト。水苔を巻くのもオススメ)
②ある程度の日光

▶︎観葉植物の管理方法
・窓から1m以内が成長する範囲
・お部屋の中で空気が回っているか

扇風機を回したり窓を開けたりする癖をつけたらgood!植物を置くことで新鮮な空気が人間にも入ってきますよ〜と。

 

2023.09.04

よっしー yoshi


ハナモミジ / 編集・オンラインショップ【好きな食べ物】いちご、モンブラン、韓国料理【趣味】BTS
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