ハナモミジ

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【コラム】二十四節気と花のある暮らし「処暑」

最近になって我が家にぬか床がやってきました。畑で採れた新鮮な旬の野菜の美味しいお漬物には憧れます。忙しくてしっかりと料理ができない時もさっとフレッシュなぬか漬けを食卓に並べられたら、母として妻として誇らしいだろうと、キラキラしたセルフイメージを膨らませています。

といってもぬか床を招き入れたのは今回が初めてではありません。ぬか漬けはかれこれ20年にわたり何度も漬けてきています。しかしずっと失敗ばかり。味がいまいちだったり食べようと思った時に漬かりが悪く、さらに漬けていたら次の食事が外食で食べ損ねたり。次第にぬか床の存在すら薄れダメにしてきました。覚えているだけでも過去に5回はぬか床を買ってきてみては失敗を繰り返しています。

ぬか床に野菜を入れたり、食事に添えたり、またぬか床をかき回したり、

日々のリズムの中にぬか床と寄り添い暮らしたいと切に思ってきたけれども、ずっとうまくいった試しがありません。

相手は発酵している生き物。彼には彼のペースがあり、気温や湿度など一定ではない彼なりのリズムがあるんですね。(彼とはつまりぬか床さん)便利な家電など、機械を取り入れるのとはわけが違います。やはり、ぬか床の様子をみて向き合い、今どういうご機嫌なのかを伺わなければいけません。

レンジにおかずを入れれば1分でほかほかになるように、これまでの私はぬか床に野菜を入れさえすれば美味しいぬか漬けができあがると高を括っていたに違いありません。

ちなみに、これまでのぬか床は現代風にアレンジされた「冷蔵庫で保管OK、かき回さなくても良い」というNEWタイプのぬか床でした。簡単に美味しいぬか漬けができるというキャッチコピーのものを探し取り入れていました。

そして、今回新しく招き入れたぬか床は昔ながらの常温で管理するタイプです。もちろん、都度かき混ぜなければいけません。だから忘れないように、キッチンの一番目に着く場所に居てもらっています。ぬか床がやってきて約半月が経ちますが毎日はかき混ぜられないけれども、料理を作る片手間で野菜を入れ、食事の際に美味しいぬか漬けを食卓に並べることができるようになりました。

常温なのに腐ることもなく、蓋を開けると香ばしい発酵臭がします。私の手の常在菌がふかふかのぬか床でイキイキと生きている。そしてお野菜と共に新しい食べ物に変身して、私たちの胃袋を満たしてくれています。


小森妙華

2023.08.28

小森 妙華 komori myoka


アトリエ華もみじ代表【好きな食べ物】 餃子とビール【趣味】料理・写真・畑
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