生産者訪問@アイディアルフラワーさん
刻一刻と秋が深まってきました。秋といえば、皆さんはどんな花を思い浮かべますか?
コスモスやヒガンバナ、中にはケイトウを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
華もみじで毎年仕入れているケイトウは一般的なケイトウとは異なり、「霧島の秋」というオリジナル品種です。私自身、それまでケイトウは特別好きな花というわけではありませんでしたが、「霧島の秋」に出逢い、その美しさに惚れ込んでしまった一人であります。
今回、宮崎県小林市にて「霧島の秋」を生産されているアイディアルフラワー(Ideal flower)さんを訪ね、代表の大牟田尚徳(おおむたなおのり)さんにお話を伺ってきました。
アイディアルフラワーさん紹介
宮崎県の南西部に位置する小林市。周囲には山岳が連なり、緑豊かな森林や高原が開ける場所です。そんな環境にひっそりと建つこちらのハウスで、「霧島の秋」を生産されています。
アイディアルフラワーの大牟田尚徳さん。繁忙期でお忙しい中ではありましたが快く迎えてくださいました。
ハウスでは最盛期を迎えた「霧島の秋」をはじめ、色鮮やかなジニアやこれから花を付けはじめる育種ビオラなどが並んでいました。どれも美しく目を奪われる光景です。
想いが継がれる「霧島の秋」
ケイトウ「霧島の秋」とは、育種家である松永一(まつながはじめ)先生が五穀豊穣の秋の色を花であらわそうと、10年以上の年月をかけて生み出されたオリジナル品種。驚くことに、その時なんと92歳。すごい方です。
松永先生がご高齢により、2022年にその想いを託された大牟田さん。
「自分がやれることを自分なりに。」受け継いだからには進化させないとと決意を固め、今もまさに挑戦を続けていらっしゃいます。
ラベルに描かれた松永さん。植物を愛するあたたかいお人柄が伝わってきますね。松永さんの想いは次の世代に受け継がれ、今なおたくさんの人々に愛されています。
「霧島の秋」特別な魅力
秋色に染まった美しい「霧島の秋」。他にはないその魅力について伺いました。
まずはなんといっても「色の豊富さ」にあります。ベージュやグリーン、アプリコットなど色が豊富で、一つの株でも複数の色が入り交じる、独特な風合いが魅力的です。
秋が深まるにつれて花穂がより大きくなるので、色の深まりを楽しむことができますね。
そして「花もちの良さ」や「丈夫さ」も、「霧島の秋」の特徴であります。
上の写真は、実験のために茎を折ったもの。
そしてこちらの写真は、自ら再生して育ったもの。それほどの強さがあるんですね。
ただ育てる上で、風通しは大事とのこと。ハウス内の植物たちは余裕をもってスペーシングをされており、皆さんがお家で育てられる際はそのポイントも覚えておくといいかもしれませんね。
大牟田さんのこだわり
今回大牟田さんからお話を伺う中で、何よりこだわりとして感じられたのは “植物そのものの姿” を大切に育てるということ。
現在市場に出回っている植物には、矮化剤(わいかざい)というコンパクトに育てるための薬剤が使われていることが多いですが、大牟田さんは植物本来の自然の姿が美しいという考えから、極力矮化剤を使わずに育てているといいます。
苗をよく見たら栽培履歴がわかるそうで、
「矮化剤を全然一度も使わないということはないんです。この苗も初期だけ使っていて、ここに節間(葉の出ている節と節との間)をいっぱい作りたくて、この葉が詰まっているあたりで使っている。」
大牟田さんの指差すところを見ると確かに葉が密集していて、その後矮化剤が切れた後の植物がワーッと自然のままに成長する動きが見て取れました。
矮化剤を必要以上に使ってしまうことで、植物にも環境にもストレスがかかってしまいます。だからこその選択。
植物を手に取った人の花壇でどれだけ育つか、どれだけパフォーマンスを出せるか。日々改良を重ね、これからもたくさんの人の心に花を届けてくれることでしょう。
最後に。ハウスの中でお見かけした他の植物たちもチラッとご紹介させていただきますね。
まずはビオラ。いよいよこれから大きくなっていくぞ!という時期でした。
大牟田さんといえば、育種ビオラ「エボルベ(evolve)」としても有名で、さまざまな花色が交ざり合った美しく珍しいビオラなんです。evolveとはイタリア語で “進化する” という意味。“進化しつづけるビオラ” として知られており、まさに大牟田さんの代名詞のような気がします。
「霧島の秋」に代わり年末にかけて姿が見られる予定です。今から楽しみですね。
そして、なんとも素敵な色合いのジニアの姿も!
心がとてもハッピーになりました!
ということで、今回の取材ブログはここまで。
これから最盛期を迎えるお花たちにも目が離せませんね。
五穀豊穣の秋。皆さんも秋の風を感じながら、心赴くままにブリコラージュフラワーを楽しんでくださいね。
(編集部 よっしー)
アイディアルフラワー(Ideal flower)
インスタグラム @naonoriomuta