【コラム】二十四節気と花のある暮らし「立夏」
たくさんの植物が一気に芽吹き、園の敷地やタネニハガーデンにもたくさんの植物が次々に咲いています。その植物の中から切り花にできそうなものを探しては部屋に花を生けるという生活をやっています。1年を通じて、園にある植物でどんな提案ができるかを研究している最中です。植物を生けては写真に収め、果たしてどんだけの植物がこの園で楽しめるのかを知ることが楽しみになっています。
そうした視点で毎日自然に触れてみると、自然の移ろいに身を寄せて生活することがとても楽だなと思うようになりました。
夏に向かうこの時期は植物も気候もとにかく変化が激しく3日前の様子と今日の様子が全く違うものです。先日咲いていた花がいつの間にか終わり、見ていた風景がガラリと変わります。そこには、ハッとするような感動とこんなにも自然は変化していくものなのだと気が付かされます。
想像以上に短い間隔で自然や気候が変化していることを、ただなんとなく暮らしていては確実に見逃してしまうでしょう。目の前の仕事をただ淡々とこなすだけではそのうち気分が乗らなくなったり、魂詰めすぎて疲れてしまうことがあります。
自分が大切にした暮らしってなんだったっけ、と好きな事すら分からなくなることがありませんか。そんなつい目の前の事に追われがちな私たちにとって「自然」というものは太く大きな軸となってくれることに気付かされました。
人として生きていくには、何か自分の中に基準を持っていないと疲れるものです。ひとりひとりが多彩多様ですので、自分の基準が曖昧では何を持って前に進めば良いのかわからなくなってしまいます。
そんなときに自然の移ろいに身を寄せてみると、自分は大きな変化という流れの中にいて、自分も同じように変化し続けていることに気がつきます。そうすると、良いとか悪いとか、できたできないなど、いちいち落ち込んだり腹を立てることも長い時間の中でみるとたいしてことでははないと、随分と大らかな気持ちになれるものです。
日々移ろい続ける私という存在も、一生懸命に花を咲かせお日様の光を浴びている、この野の花と同じだなと思えることができました。何となく疲れていると感じたら、木々や花がある場所へとお散歩に出てみてください。
小森妙華