ハナモミジ

ハナモミジ

【ディプロマ便り】わたしの居場所

早いもので昨年の秋にはじめた『ディプロマ便り』も9回目の投稿となりました。
これまでインタビューをさせていただいた方の多くは私よりももっと前から華もみじのことをご存知で、お話を伺いながら華もみじの軌跡を辿っている感覚になります。

今回ご紹介するディプロマ卒業生さんも卒業ナンバーが若く、在りし日の小森先生や滋賀県で開催されていた関西教室などについて懐かしげに話してくださいました。

 

神奈川県横浜市青葉区にあるご自宅で寄せ植え教室『アトリエmel(アトリエメル)』を運営されている谷本真由美さん。
愛犬メルちゃんとともに皆から“メルさん” “メルメルさん”と呼ばれ、親しみやすくキュートなお人柄です。

ご自宅が教室のため住所は一般公開されていませんが、お庭にバラや色鮮やかな草花が植えられているようなメルヘンチックな家が建ち並んだ住宅街の一角にあります。

ご自宅で教室を開催している方に取材をするのがはじめてだったので、いったいどんな感じなのだろうと想像を膨らませながらお邪魔してきました。

 


 

メルヘンな世界へようこそ

玄関の扉を開け一歩踏み入れるとそこはまたメルヘンな世界。
華やかで可愛らしくて、メルさんとじっくりお会いしたのは今回がはじめてでしたが、メルさんのお人柄がその場の空気感から伝わってくるようでした。

メルさん:4年ぐらいかけてようやく教室らしくなってきて。

ご自宅で教室をはじめて4年ほど。元々はごく普通のリビングだったためお子さんの日本地図が貼ってあったり生活感があったけれど、少しずつレッスン仕様に手を加えてきたのだとか。今では生徒さんにも好評で「毎回訪れる度に何かが増えている!」と、変化を楽しみにしてくれているといいます。


▲かわいらしい小物がたくさん

レッスンスペースもあるというご自慢のお庭も覗かせていただきました。

メルさん:この庭もブリコラージュをはじめてから造った庭で、それまで全くガーデニングをやっていなかったから雑草だらけで。はじめての人とかきっと緊張してるじゃない?だからこの庭にどうぞ~って。

誰かのお家にはじめてお邪魔するときは誰でも緊張するもの。そんな気持ちを察してまずはお庭へご案内しリラックスしてもらう。それがメルさんなりの心遣い。


▲不思議とここにいる置物の動物たちには命が宿っていそうな気がしてくる…


▲居心地がいいんだね

 


 

わたしの居場所

―― ブリコラージュフラワーをはじめられたきっかけを伺ってもいいですか?

メルさん:私ね、主人が亡くなってね。七回忌もう終わったんですけど主人が亡くなってちょっとね、どうしていいかわからない時期ってあるじゃないですか。仕事とかもしていなかったし居場所がなかったというか、「私って誰?」みたいな感じに… 。それまでの時間がバーっと消えちゃった感じがして。積み上げてきたものがね。

その時になんとなく集中したくなって、何かに。

メルさん:その時多肉植物が好きで。1ヶ月に1回の水やりだし多肉なら育てられたから「あ、何かやってみようかな。」って思って。たまたまFacebookで自分が作った作品を載せて「誰か一緒にやらない?」って声を掛けたら、いきなり15人くらい集まっちゃったんですよ。みんなたぶん応援の意味も込めて。

それで来てくれたのですごく楽しかったの。久しぶりに。たくさんの人に会って。なんとなく家の中も湿っぽくなってたわけじゃん、そんな悲しいことが急にあると。

メルさん:笑い合うのって楽しいな~なんて思っちゃって。みんな帰る時に「楽しかったからまたやって!次も楽しみにしてる。」とか言うから真面目に受け取っちゃって。

じゃあ次も何かしようかな、多肉ってどんな作品があるかなって検索したら、まぁお決まりの小森先生の作品がヒットしちゃって。そこが入り口で。こんなにすごい作品を作ることがもう衝撃的で。当時多肉作品って小さい雑貨的なものが多かったけど小森先生の作品はある意味アートで迫力もあったし、どうやって作ってるんだろうって。

メルさん:レッスンを調べてみたら、当時東京がなかったけれど関西ならやっていると。下の子がまだ中学生だったからさすがに福岡までは飛べないけれど、新幹線ならキャンセルもできるしドタキャンもできるから、じゃあ行っちゃおうかなって。

――毎月通われたのですね。

メルさん:あの時はもうとにかく勢い。なんにも考えていなくて教室もやろうじゃなくて「これが知りたいの!」みたいな感じで飛び込んだのね。当時は滋賀教室。本当に初期。滋賀県に大きな仲卸さんがあって、そこのハウスで自由に花苗を選び放題ですごい経験させてもらったの。そういうことも知らないでやらせてもらったからもうね、びっくりしたね!

メルさん:面白いのが、小森先生は多肉をやると思ってレッスンを受けたらハウスの中はオール花だったの。「私、花やるつもりじゃなかったのに〜」って思ったけど、もう入っちゃったからしょうがないじゃん(笑)でも結局いろんな植物に魅せられちゃって。

メルさん:花の水やりって毎日やるんですか?みたいなレベルのところだったんだけど、スタートしたんですよ。

それでね、本当に思ったのは、当時そこに入ったらやっぱり教室をやっていてプラスαでブリコラージュフラワーを習いたいとかお店をはじめたいとか、ガーデニング歴20年とか、そういうお花に詳しい方がたくさんいたんですけど、ゼロからはじめた私をゼロからはじめていい場所みたいな感じで何も感じさせなかった。

例えば「こんなことも知らないの」とかそんな世界ってあるけど、本当に小森先生の率いるその場所はそんな場所じゃなくて、とにかく「なんでもいいから作って!」とか「かわいい〜!」って。そう言われると「本当にかわいいのかも!」とか思うじゃない?(笑)とにかく楽しくてね。

メルさん:今までの日常とは違った世界がそこにあって、見るもの全部新しくて、しかも仲間が居心地が良くて。わからなかったらみんな教えてくれるし。昔先生に言ったことがあるんだけど、ハナモミジにいる人たちってみんないい人だねって。

メルさん:あの時は「私って誰?」って状態だったけどだんだん自分で積み上げてきて、私ってこんな人だったんだって。自分のパーツをこう集めて。居場所づくりではじめたのかな、教室を。きっと。

当時のことを「とにかく必死だった。でも今思えば、本当に助けられた。」と振り返るメルさん。

メルさんの悲しみは私には想像しきれないけれど、当時のメルさんが心に素直になってやりたいと思ったことをはじめて、悲しみに捉われない時間を作ることはきっと必要なことだったのだろう。

新しい世界に飛び込んで受け入れてくれた仲間たちと、「頑張って!」も「早く元気になって!」も言わずただそこに咲いて少しの手間を焼かせてくれる植物に、きっと心が静まる感覚があったのかもしれないな。

 


 

自分のため。人のため。

教室をはじめて2年ほどは多肉植物のレッスンを中心に行い、ブリコラージュフラワーレッスン(花の会)をはじめたのはここ2年の話。

取材に伺った翌週がちょうど観葉植物レッスン初開催のタイミングでした。あれもこれもと欲張りはせず、ひとつひとつ段階を踏むように提供できるものを増やしているといいます。

メルさん:準備してレッスンして喜んでもらうまでの一連の過程って、やっぱり少し力を使うじゃない?オンラインにしろホームページにしろ、全て楽しんでもらうものを出すにはそれなりの熱量を注ぐから、注ぎ続けていてもなんかね、作れなくなっちゃうのね。やっぱり真面目だからさ、毎回毎回一生懸命やるじゃない?皆さんも私もそうだし。やり尽くしちゃった後はインプットさせていただかないと!

メルさん:自分のペースと自分のキャパをいつも見極めて。そこは絶対譲れないところ。例えば今回13名来てくださるから、1回で13人こなしたら「あぁ、私は13人できるんだ!こういう感じでやるんだ!」とか。「じゃあ来年はプラス何人いこうか!」みたいなステップアップもできるじゃない?

ーイメージを具体的に描けるようになりますね。

メルさん:毎回それを模索して、毎回葛藤。とにかくブリコラージュフラワーも発展途上だから、発想の自由度が広いよね。ある道を極めてしまうと「そんなのないでしょ?あり得ないよ!」とかいろんな道であるけど、「実はうまくいっちゃった!」みたいなのをやっぱり認めてくれるからね、華もみじは。本当にそういうことをやっても責められない環境がある。

よく生徒さんにも説明するのね。これは新しい寄せ植えでまだ発展途上だから失敗もあると。失敗もあるけれど、みんなでいろいろやってみて「こんな組み合わせいいね!」ってやることもあるしね。


▲アジサイとコチョウランとデンファレ、それぞれの性質を考えて新しく試みたブリコラージュフラワー。経過観察中…

メルさん:これもうまくいったらうちも薦められるし、ダメだったらどこがダメだったか。あとはどうなるかが楽しいじゃない?ちょっとオタクになっちゃうとこういうのも楽しくなってくるの。バカみたいでしょ、もう(笑)


▲メルさんお手製の作品集。表紙にはブリコラージュフラワー作品とメルちゃん

自分のペースと自分のキャパをいつも見極めてひとつずつ手探り。
新しい試みも、例えば持ち帰りの電車でどこに置くかまで考え生徒さんのニーズを見極めながら試行錯誤していくそう。

メルさん:やっぱり自信もって勧めないとね!相手あっての仕事だから。

 

きっとはじめは “自分のため” だったブリコラージュフラワーが、いつしか “自分のため、人のため” のブリコラージュフラワーに変わっていったのではないでしょうか。

新しいカケラを見つけて補って。落ち込んだり前向きになれたり… そんな感情を繰り返す中でも人や植物から元気をおすそ分けしてもらって、少しずつ自分なりの向き合い方を見つけてきたのかもしれないなと、取材を通して感じました。

(つうしん部 よっしー)

 

『アトリエmel』さんではプライベート空間でブリコラージュフラワーの単発レッスンを受講いただけます。
ブログも随時更新していますので、ぜひ覗いてみてくださいね♪

住所/神奈川県横浜市青葉区(詳しくはお問い合わせください)
電話番号/090-6714-3362
Instagram/https://www.instagram.com/melmel.0325/
ブログ/https://ameblo.jp/flowerfaily-3147/

 

 

2022.07.05

よっしー yoshi


ハナモミジ / 編集・オンラインショップ【好きな食べ物】いちご、モンブラン、韓国料理【趣味】BTS
top