【翁明窯元 × 華もみじ】オリジナル鉢 誕生ストーリー vol.1
先月華もみじに素敵な出逢いが訪れました。
福岡県朝倉郡東峰村小石原。
陶の里として知られるこの地で器づくりに励む『翁明窯元』さん。
このたび翁明窯元さんに全面的にご協力をいただき、アトリエ華もみじオリジナル鉢を開発することになりました!
翁明窯元 × アトリエ華もみじ
事のはじまりはおよそ2ヶ月前。
華もみじが自社オリジナル鉢の開発を進めるにあたり、自分たちのイメージを形にしてくれる窯元さんを見つけようと、まず頭に浮かんだのが翁明窯元さん。
同じ福岡、昔から日常的に翁明窯元さんの小石原焼の器を愛用していたスタッフも多く、とても馴染み深く憧れの存在でした。
そうとなれば行動が早い華もみじ。一か八か翁明窯元さんへお声がけをし、幸いにもすぐさま快諾をいただき、あれよあれよと初打ち合わせの日を迎えたのでした。
“日々の暮らしがもっと楽しくなるように”
“日常がもっと豊かな気持ちになるように”
そんな思いで器づくりを続ける翁明窯元さん。
窯元と花屋。業種は違うけれど、仕事にかける情熱や志に共感しあった者同士が生み出すコラボレーションは期待せずにいられません。きっと未知なる化学反応により、思いもよらないモノが生まれる予感。
このご縁はきっとたくさんのハッピーを運んでくれるはず。
素敵なご縁に感謝しつつ、オリジナル鉢完成までのストーリーを一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。
350年の歴史
陶の里へ
山々に囲まれた町はずれの道を進むと、ポツンポツンと窯元らしき看板が目についた。
この小石原地区には50もの窯元が点在し、毎年春と秋の年2回開催される『小石原 民陶むら祭』には小石原焼に魅了された人たちが全国から訪れる。
2022年春の民陶むら祭は2年ぶりにリアルでの開催となり、大変な賑わいを見せたそうだ。
小石原焼はおよそ350年の歴史をもち、陶磁器では日本で最初に伝統的工芸品に指定されている。小石原の山は器づくりに適した良質な土と薪が手に入りやすいことから、陶の里として栄えたのだという。
小石原を訪れたのは6月のはじめ。車を降りると、どこからともなく鳥のさえずりが聴こえてきた。
笑顔で出迎えてくれたのは、翁明窯元二代目 鬼丸尚幸さんと奥様の晃子さん。
朗らかな印象に、陶芸家は無口で気難しいという勝手なイメージを一瞬で払拭してくれた。
翁明窯元は、尚幸さんの父である鬼丸翁明さんが小石原焼発祥の地にある窯元へ修行へ行き、その後立ち上げた。来年で創業40年を迎える。“翁明” という名には “おじいさんになっても明るい” という想いが込められているそうだ。
幼い頃から焼きものに携わる父の姿を見てきた尚幸さんが、同じく焼きものに携わるのは自然なことだった。ただ意外にも小石原焼にちゃんと携わり出したのは30歳のとき。それまで東京にある大学などで幅広く経験を積まれてきたそうだ。
古き良き伝統に新しい感覚を取り入れた尚幸さん独自の作風はいま多くの人の心を掴み、小石原焼に新たな風を吹き込んでいる。
翁明窯元と小石原焼
私を含め小石原焼についてまだあまり詳しくない方のために、尚幸さんが工房を案内しながら翁明窯元の小石原焼について丁寧に教えてくださった。
工房外ではサンサンと降り注ぐ太陽の下、土から形づくられた皿たちが今か今かと窯に入れられるのを待ちわびていた。
写真左の列から段階的に乾いてきているのがわかるだろうか。
中を覗かせていただくと、そこには立派な登り窯。
現在はガス窯を使用しているので長らく稼働していないそうだが、作品づくりの際に大活躍するという。
「3部屋あるんですけど、1部屋ずつ目標温度に上げていくんですね。一番手前から1230~1240度くらいまで上がったら、次に隣のここから火を入れはじめて、この部屋がまた同じくらいの温度になったらまた隣にいって薪を投げ入れて。焼き上げにはそれぞれでトータルで30時間くらいじゃないですか。」
温度や時間を見極める、まさに熟練の業により独特の風合いが生まれるというわけだ。
はじめて見る光景に目を奪われていると、晃子さんが 陶板(とうばん)と呼ばれる器の制作過程を見せてくださった。
陶板とは、粘土の板を手づくりの石膏の型に押し当てて形作る技法。
粘土をローラーで伸ばし
石膏の型に粘土をかぶせて
バンバン!とひたすら叩く。
機械で伸ばした粘土は密度が緩やかなため、しっかり叩くことで土の締りをよくしているのだとか。
ワイヤーで型に沿って余分な土を削ぎ落としたら
ポン!と[翁明窯元]のスタンプを押し、乾くまでその状態にしておく。
まさにすべてが手作り。
工房内には数え切れないほどのさまざまな型がたくさん保管されていた。
中にはかわいらしい星型もあったりして。
星の尖り方もひとつずつ違う。手づくりならではの味わいと言えるだろう。
ここまで小石原焼、翁明窯元さんについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?
翁明窯元さんでは陶板のほか、ろくろを使った器づくりをされています。
むしろその器づくりにこそ、小石原焼の、翁明窯元さんならではの特徴が見られるかもしれません。
今回のオリジナル鉢はその伝統技法で作られます。
器とはまた勝手の違う鉢づくり。
はじめて鉢を作る者同士、好奇心を掻き立てられながら挑戦しています。
次回は試作段階へ。ぜひお楽しみに!
(つうしん部 よっしー)
翁明窯元さんの店舗では様々なタイプの器に触れることができます。ぜひ足を運んでみてくださいね♪
※ 陶芸体験は行なっておりません。〒838-1601 福岡県朝倉郡東峰村小石原1126-1
営業時間 : 10:00〜17:00
定休日:火曜日(お正月・お盆休み有り)
TEL&FAX:0946-74-2186
http://www.020oumei.info/